連載11回目:技術は一日にしてならず㊦(電気新聞2018年5月16日掲載)

 電気の現場で発生するトラブルに対処するためには、理論を土台にした機械や電力、法規の知識を駆使し、何が起こっているのかを自分の目で見て、原理原則から系統立てて考える能力が必要だ。それに加えて、その時々の状態や周りの状況を見渡しながら対応する力が求められるのだから、電気主任技術者はAIでは代替できない職業ではないだろうか。
 電車が遅延なく走り信号が正確に点灯する。エレベーターも自動ドアも動き、街に明かりが灯って山奥でもテレビが映る。日常を支える縁の下の力持ちがいるおかげである。
 日本における自家用電気工作物の9割以上は、第3種電気主任技術者の監督範囲だから、日本の電気保安は第3種主任技術者が担っているといえる。電気工作物の保安レベル維持のためには極めて重要なのだ。今後も世の中の電気への依存度は一層高くなり、電気設備は増えていくだろうから、電気保安の重要性はますます高まるはずである。
 学院の生徒達は「電気の勉強は楽しい」と言う人が多い。何がどうなるのか、どう進むと道が開けるのか、数式だけでなく、言葉で、図で、表現できるようになり、相手に「分かった」と言ってもらえるようになると、面白くて楽しい世界だと気付く。意識を変え、勉強の方法を変えることで新しい世界が広がっていくのだ。

 施主と話をする際、図を描き詳しく説明したことで「安心できる」と言われ、大きな取引に結びついたことや、自社が設備を取り入れる際、業者と丁寧に話し合って詰めた結果、自社の希望通りの仕様になり出費を大きく抑えることに成功し会社から評価されたことなど、生徒達はうれしそうに話してくれる。
 「電気主任技術者を目指すのではないが、電気というものをきちんと学びたい」と入学する人達もいる。営業マンは顧客に説明できるようになって成績が上がったという。弱電の仕事だが基になる強電の世界を基礎から体系的に学んだことは大いに役立つと、音響や放送関係の人達は言う。何事も本質から考える習慣が身についたことで、仕事が変わり人生が変わったという言葉をよく聞く。OB達が来て様々な経験を話してくれるのを聞くのはうれしいことである。
 受験勉強(公式暗記ではない勉強)を通して電気の奥深さを認識するとともに、資格取得後も新しい技術やトラブルにも対応できるよう学び続ける技術者が社会から望まれていると思う。何といっても、現場に出て仕事ができないと困るのは、まず本人なのだから。
 見えない、臭いもない、だからこそ危険物でもあるこの電気というものを、もっともっと大切に思ってほしい。今の世の中は電気なしでは動かないのだから、もっともっと真の力のある技術者が増えてほしい。
 私は「受験テクニック重視でなく、電気の本質を理解し、なぜ?どうして?に応えられる真の電気技術者を養成する」という学院の理念を大事にしながら、これからも「電気技術者よ、力をつけよ!」と言い続けていくつもりである。
(おわり)

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