連載7回目:勉強上手は息抜き上手(電気新聞2018年3月7日掲載)

 あるOBから電話が入った。「甥が地方一の国立大学を目指したいというのだが、どうも勉強が甘い気がする。学院の生徒たちの勉強ぶりを見せてやりたい」と言うのである。数日後おとなしそうな少年を連れて現れた。
 その日は3種講座に東大で機械工学を学んだ生徒が来ていたのでアドバイスを頼んだ。大学入試時の猛勉強の思い出や、現在の毎日夜遅くの帰宅になる忙しい仕事を抱えながらの勉強法を少年は黙って聞いていた。授業も黙って見ていた。どれだけ役に立ったかわからないが、伯父さんの思いをしっかり受け止め猛勉強してほしいと思ったことだった(ちなみにアドバイスした生徒は初受講で3種2種同時に合格した)。
 この伯父さんは初受験で2種、次の年に1種に合格した人である。勤務先から「今の電気主任技術者が定年になるので、来年までに電験1種を取ってほしい」と要請されたという。1種取得を来年に、とは非常に厳しい話である。2種の授業は土台となる3種がしっかりできていなければ乗らないのだが、しかし、この人なら何とかなるだろうと思わせてくれる人ではあった。そこで、じっくりと話し合いをしながら学習法を考えた。来年度の1種合格を目指して今年度はまず2種を取る、大変厳しい学習になるがそれしかない。これで行こうとなった。
 大学の電気工学科を卒業後、電気関係の設計や工事に従事し、発電所のある大きな現場で長く働いて来たというが、勉強というものをよく知っていた。
 さまざまなジャンルの本を読むのが息抜きだというし、物事を深く考えることが好きで弁も立つ。学院の授業を生かしつつ自分なりの学習法を常に考えてもいた。夜よりも頭が冴えていると毎朝出勤前に、休日は早朝から猛勉強、学院の授業でも取り組み姿勢はすさまじいものだった。
 今回、彼に振り返ってもらったのだが「2種は250時間、1種は150時間位の勉強時間だった。大学も仕事も電気の世界という手札を活用できてのこの時間だったと思う。忙しくて勉強できない時期もあったが、最初から1種を意識して早めに進めていたので焦らずにやれた」とのことだった。
 これは誰にでもできることではない。正直のところ、学歴や時間を書いたことで、この部分だけが独り歩きしてしまうことを恐れてもいるのだが、あえて彼を紹介してみた。電験学習は「内容と深さ」、そして「絶対に合格するぞという意気込み」が重要なのだ。たくさんの生徒たちを見てきてそう思う。
 ともかく彼はその年2種合格、そして次の年めでたく1種合格となった。会社も助かったし彼の面目も立ったのだった。
 こんなことを書くと、学院はガリ勉の集まりのように思われるかもしれないが、実は皆、けっこう息抜き上手なのである。
 ある年の夏の夜、仲の良い4人が夜問授業の後、たまには英気を養おうと居酒屋に寄った。飲むほどに話が弾み、気が付いたら終電の時刻を過ぎていた。一番遠いのが千葉から通っている大学生。「タクシー代なんか持っていないし親に叱られるよー」「それは可哀想だ」と皆で相談、結果、学院の近くの東京芸術劇場前の石畳に横になった。20代と30代はしっかり眠れたが40代は次の日体中が痛かったそうである。「やっぱり若いのにはかなわないよ」とおじさん達はぼやいたという。私に言うと叱られるから内緒ということだったそうだが、後日、聞かされあきれてしまった。しかし後々、彼らは言ったものである。「4人とも3種も2種も合格したんだからいいでしょ?」
 前述の伯父さんを含め彼らは今でも仲が良く、何かと助け合っている。
(つづく)

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