連載6回目:世間は広いが狭くもある(電気新聞2018年2月21日掲載)

 2月初旬のある日の夕方、OBたち3人から同じような内容のメールが入った。高知在住、高松在住、岡山在住、3人の笑顔の写真が添付されている。その写真を見て驚いた。「なぜ、この3人が並んでいるのだろう?」。みんなOBではあるが同期ではないし住んでいる場所も違う。一緒に写っていることは非常に不思議なことである。
 メールの文章を読んで分かった。日本電気技術者協会四国支部主催の「リレー講習会」の会場で会ったそうである。1種合格のNさん、2種合格のTさん、3種合格のSさん。「ここで出会うとは思ってもいなかったので驚きました。高松市での講習会の出席者11人のうち3人が学院OBなんてすごい偶然ですよ。一緒にお昼ご飯を食べながら学院の話で大いに盛り上がりました。楽しかったです」と皆が書いている。
 Nさんは山口県の出身、東京で仕事をしていた時期、学院に通い3種2種を取得、その後、故郷に拠点を移したが勉強を続け1種に合格した。現在は高知で太陽光発電の仕事をしている。年末、久しぶりに東京に出て来たと学院に寄ってくれ、詳しい話を聞かせてくれたばかりだった。
 Tさん、元々は香川県で建築資材製造会社工場長をしていたが、定年前に東京に出て来て再就職、学院に通い3種2種と取得した。1種を目指したが、仕事ができるがゆえに役職がつき様々な仕事を任され、勉強時間が取れなくなってしまい1種は諦めざるを得なかった。その会社で定年後も残ってほしいと引き止められ勤め続けていたが、「高松に住む母親が気になるので」と退職し帰った。今は様々な経験が生きて電気管理の仕事が広がり「やりがいがあります」と言っている。
 Sさんは神奈川県出身で東京の放送局に勤めていたが、強電も学びたいと学院に入学し3種取得。しかし、妻の故郷に住むことになり2種の授業は途中までしか受けられなかった。今は岡山の放送局で電気主任技術者として仕事をしている。
 それぞれ学院にいた時期が2~3年ずれていたが1年位は重なることもあった。また、学院では先輩が後輩に教えたり助言をするということが普通に行われているのでお互いに知っており、会場ですぐに分かったという。
 ともかく、会う必然性が全くなかった3人が高松で会った。「奇遇です」と3人とも驚き喜び「今度、飲み会をしようと思います」「相談相手ができて心強いです」「今後の仕事でも教えて頂けると思うとありがたいしうれしいです」とそれぞれのメールにあった。今は橋ができたことで本州と四国は往来が増え、仕事のフィールドも広がっているという。
 そこで、思い出したのが広島県にいるOBたちのことである。
 1人は3種2種と独学で合格した後、1種は学院で学ぼうと新幹線で通って合格した工業高校の教員である。「学院で学んで教え方が変わりました。そうしたら生徒が3種に合格するようになりました。学院の教えの通り、結果より『過程』『なぜ』を大切に丁寧に教えています」と今年の年賀状にあった。
 もう1人は東京の大手出版社の編集長だった人。電気とは全く関係なかったが、物理が好きなので定年前に3種を取得したいと学園に入学。めでたく合格し、故郷の広島で電気管理の会社に入った。彼はその後、「詩集を出しました」と美しい装丁の本を送ってくれた。凪(なぎ)の奥底にたぎる心を磨き抜いた言葉で表現した詩集、私は感動し何度も読み返した。この詩集は今でも大切にしている。
 この2人にも彼らのことを伝えよう。助け合える仲間、話の通じる仲間が近くにいることは心強いことだから。
(つづく)

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