連載5回目:親の背を見て子は育つ(電気新聞2018年2月7日掲載)

 当学院には父親が学び、その後に息子が入学してくるという例が昔からある。そのひとつ、昨年度3種に合格した大学生のO君とその父親の話。
お父さんは14年前に当学院で3種に合格して電気管理事務所を立ち上げた。電気工事会社に勤めていたが、時間が取れない中で真剣に取り組み3年目に合格した。今はたくさんの顧客を抱え、忙しい毎日を送っている。「電気管理事務所の名刺を持って学院に挨拶に来たい」と言っていたが、まさにその通りになった。
その息子O君は幼い頃、「勉強ばかりで一緒に遊んでくれない父親のようにはなりたくない」と思っていたそうである。夜、テレビを見ていると、「うるさい!勉強の邪魔になる」と怒鳴られ、テレビを消されたこともよくあったという。
しかし、仕事が順調に増えイキイキと働く父親の姿を見るにつけ、電気の仕事も悪くはないと思い始め、大学は電気科に入ったのだった。そうなると父親は「せっかくだから電験3種を取らせたい。学院に入れたい」と考えるようになった。そこで、1年生のうちから学院に通うことになったのだが、しかし、彼の取り組み姿勢は非常に甘いものだった。
 見かねた講師から「本気でないのであれば辞めろ」と叱られて、ようやく勉強していない自分に気が付いたそうで、そこから本気になったのだが、今、彼は言う。
 「この時期から勉強法が大きく変わりました。大学受験のときから、原理や原則など知らずに公式と呼ばれる物を必死に暗記しそれを使って答えを出すという勉強をしており、これが勉強だと思っていました。しかし、学院では原理原則を学び、公式の成り立ちをきちんと説明できるように指導されます。今までの勉強は数学的に答えを出しているだけで、電気的な理解は全くなかったことに気付きました。電気の本質を理解し現象から説明ができるようにならなければ、仕事はできないし上級には進めないと思っています。
このように変わって2回目の受験で合格したのだが、彼の場合は父親の手伝いをしたことも大いに役立っていると思う。
 父親の仕事はなかなか休みを取れないほど忙しく、よく手伝いをさせられたそうだ。「きちんと挨拶をしろ」「物を運ぶくらいしかできないのだから周りをよく見て邪魔にならないように動け」「優先順位を考えろ」「ホラ、脚立に上る人がいるだろ、脚を押さえろ」「測定器が必要だ、車においてあるから取りに行け、エレベーターは止まっているんだから階段だぞ」「弁当が届いた、飲み物も一緒に配れ」「後片付けは率先してやれ」等々、父親は厳しかったという。皆と食堂で食事をしたとき、食べ終わったが少々物足りない、もう少し欲しいと思ったが「皆さんを待たせるつもりか、最初から分量を考えろ」と怒って食べさせてくれなかったこともあったそうである。「おやじの手伝いはすごく疲れるんですよー」とO君は時々ぼやいたものだった。しかし、彼は優しさも持っている。そのエピソード。「3種は難しい、もうダメだ、勉強やめるよ」と言った同期生の家に出向き「諦めるな、勉強を手伝うよ。まずクーロンの法則を静電界から考えてみよう」と言い、それからずっと勉強を手伝った。結果、今年度この同期生は合格コンパで祝杯を挙げることができた。もちろんO君も大喜び、飲み過ぎた夜となった。
 4月からは鉄道会社の社員となる。「忙しくなるだろうが2種は絶対に取りたい」と、かつての甘ちゃんは今はしっかりと目標を定めて勉強している。どんどん伸びて行って欲しい。期待している。 (つづく)

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