連載1回目:始まりは原理原則の理解(電気新聞2017年11月15日掲載)

電気主任技術者試験(電験)の合格を目指す人たちの多くが、その門をたたく東京電気学院。
解答テクニックや公式の暗記を繰り返す安易な方法を排し、
理論で解を導く力を徹底的に鍛える指導は「厳しいが、本当の力がつく」と評される。
そして、ここで学ぶ人たちの人生もまた様々だ。
学院の代表、片桐芙美子さんに指導への思いを含め寄稿してもらった。

 私は横浜の「電気の史料館」が大好きである。
日本の電気事業創設期からの様々な場で使われた様々な機器や設備がたくさん展示されている。
しかし、今は休館中で一般公開はされていないのが非常に残念だ。

 ともかく、ここの入り口近くに昔の写真が大きく掲げられている。
その中でも特に好きなのは、水力発電による長距離送電の草分け的存在、駒橋水力発電所建設時の写真である。
導水管の上に立つ男たちの写真は印象的であるし、電柱の前の全体写真も良い。
カンカン帽やハンチングにネクタイ姿もいるが、作業帽に地下足袋で半纏(はんてん)の人達もいる。
みんな堂々としており自信と誇りに満ちた姿だ。
この人達は技師か現場監督か、大きな現場を完成させた喜びが全体に溢(あふ)れている写真なのだ。
いかにも日本の電気事業の創設期の感がある。

 この人たちはどうやって電気を学んだのだろう。
間違いなく、公式を暗記してそこに数字を入れて答を出す、というような勉強ではなかったはずだ。
電気とは何か、どのように起こりどのように振る舞い、どのような作用をするものなのか、しっかりと原理原則から学んだはずである。
そうでなければ何もないところから発電所やら変電所を造り鉄塔や電柱を建て送信電し、町屋村に電気を送ることはできないだろう。

 当学院には戦前戦中からの電気主任技術者試験(当時は検定による電気事業主任技術者制度)の参考書が何冊もある。
1種合格者で著書もたくさんあり、ご存命であれば90代半ばの河村博先生から寄贈された書籍である。
これらの書籍の特徴は、問題集ではなく完全に教科書的存在である事だ。
小さな字でびっしりと原理原則から述べられ、詳しい図もたくさん載っている。

 これらの書籍には青鉛筆や赤鉛筆、または黒ペンで線が引かれ文字や図が書き込まれ全体が手垢(てあか)で黒くなっている。
何度も何度も繰り返し読み、繰り返し考えた形跡が濃厚なのだ。

 今、このような勉強をする人達はどれほどいるだろう。
電験学習で得た知識を現場で活かし説明できる力を持つ技術者、何か事が起きたとき課題を明確にした上でしっかり対処し解決することができる技術者、電験合格者の皆さんにはこうあって欲しいのだが…。

 当学院は電験予備校として昭和59年に発足し、この秋34期生を迎えた。
「受験テクニック重視でなく、なぜ?どうして?に応えられる力をつけた電気技術者養成する」という理念を持ってやってきた。
3種のみならず2種1種の合格生もたくさん排出している。様々な先輩講師の方々のお力を頂いてOBの講師たちもたくさん育っている。

 この度、電気新聞から依頼があり私の駄文掲載の運びとなった。等学院の理念で育った人達が今、様々な現場で働いており様々な活躍をしている。次回からこの人達を紹介してみたい。
(つづく)

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